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ゼノタのブログ

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バイオ・センサーについて

1 はじめに
 モビル・スーツ(Mobile SUIT:MS)とは主として人型を模した機動機器の
総称であり,そのアクション性は従来の自動車,船,飛行機といった乗り物とは
一線を画する.MSの機能は多肢に渡り,端的に言ってしまえば不完全ながら
人間の運動をほぼ全てトレースすることが出来るのである.このことは裏を返せば
それまでの乗り物とは比較にならない複雑な制御を要するということになる.
パイロットによる操縦では,MSの手,足の一つ一つの動きまでマニュアル操作
することは事実上不可能であり,『歩行』,『手持ち武器の使用』といった大半の
アクションは自動制御によってまかなわれることになる.ところが,このことが
MSというハードウェア本来の『人間の運動をほぼ全てトレース』するという性能
にある種の制限を与えてしまうことになる.制御プログラムを増やせばMSの行動
パターンはそれに比例して増えることになるが,それは操縦を複雑にし,パイロット
が操作を習得するための期間をいたずらに増やすこととなる.このジレンマは,
MS制御工学における半永久的な課題なのである.
 しかし,この問題に対して完全な解決を実現したのが今回取り上げる
『バイオ・センサー(bio-senser)』
である.バイオ・センサーとは,簡単に言えば『MSの制御をパイロットの思考
によってサポートするためのシステム』となる.これはいわゆる一般的に言われる
『生体起源の分子認識機構を利用した化学センサー』としてのバイオセンサー
とは異なる性質のものであるため,両者を明確に別個の物として捉えると共に,
以後はMSに搭載される『バイオ・センサー』についての解説として述べるものとし,
その機能及び機構を概説することとする.

2 基礎知識
 まず,バイオ・センサーの解説をするためには『ミノフスキー効果』,
『MSの駆動系』,『サイコミュ』という3つの項目について解説する必要があるだろう.
これはそれぞれが特殊な専門知識であると同時にバイオ・センサーについて
学ぶためには無くてはならない知識だからである.以下にこれらの基礎知識を概説する.

2-1 ミノフスキー効果
 『ミノフスキー効果』とはT.Y.ミノフスキーが発見したミノフスキー粒子(M粒子)
とその特性を活かした応用技術の確立を含むパラダイムシフトのことを呼ぶ.
M粒子の持つ,電磁波,放射線,赤外線などを反射吸収する性質や電荷を加えると
立方格子状に整列し,さまざまな特性を持つ力場であるI・フィールドを形成する
という特性を利用した機器は,U.C.0070年代から,主に軍事面から急速に
発達し,超小型核融合炉,メガ粒子砲といった新技術が確立されることとなった.
その後もミノフスキー・クラフト,I・フィールド-ビーム・バリア等といった
近代兵器,科学技術とは切っても切り離せない技術を生み出している.

2-2 MSの駆動
 MSの駆動にはジオンで発展した『流体内パルスシステム』と連邦系MSで使用された
『フィールド・モーター』に大別される.しかし,地球連邦が一年戦争で勝利すると,
MSの駆動系はフィールド・モーターが主軸となる.このことは一年戦争中においても
ジオンがフィールド・モーターの研究を始め,アクト・ザクなどの一部のMSに採用
していたことからも必然の成り行きと言えるであろう.
ここでは流体内パルスシステムの概説は割愛させて頂くとして,フィールド・モーター
の機構について簡単に述べる.
 フィールド・モーターとはIフィールドの相互作用を利用して,モーターを駆動させる
方式のMS駆動系である.従来の電動モーターの電磁石,コイルをIフィールドに
置き換えたものと言うことが出来る.0079年にはこの稼動ロスを軽減する技術として,
モスク・ハンらによってマグネット・コーディングが開発された.
MSの駆動系は前述の通り,フィールド・モーター式が一般的であるが,
一部のMSにおいては流体パルスシステムとの併用らしい機体も存在している.

2-3 サイコミュ
 『サイコミュ』とはニュータイプ(NEW TYPE:NT)の発する感応波
(サイコ・ウェブ)を用いたマンアンドマシーン・インターフェイス,サイコ・
コミュニケーターの略称である.M粒子散布下でのミノフスキー通信を可能とする
技術であるが,それと同時にその機構にはM粒子そのものが深く関わっている.
NTがマシーンをサイコ・ウェブによって操作するときに,媒介としてM粒子が
機能するのである.
サイコミュはU.C.70年代にジオン公国のフラナガン博士を所長とする開発機関,
通称『フラナガン機関』によって進展し,MA,MSの制御系,及び『ビット兵器(BIT)』
に応用され,その後の連邦系の『ニュータイプ研究所:ニタ研』等で更なる
発展を遂げた.

3 バイオ・センサー
 これまで解説した通り,MSの駆動はフィールド・モーター方式では,
Iフィールドよって行われ,そしてサイコミュはNTの発するサイコ・ウェブにより
M粒子を介して行われる.まさにこの点に着目したのがバイオ・センサーである.
即ち,Iフィールドよって制御されるMSの駆動系を自動制御ではなく,NTパイロット
のサイコ・ウェブによって直接的に制御する機能を持ったシステムがこのバイオ・
センサーなのである.正確に言えば,基本動作は自動制御によって行われるが,
細かな機動修正がこのシステムを通して行われる.これによりMS本来の『人間の
運動をほぼ全てトレース』するという至上命題を完全にクリアーされるということになる.
まさしくMSを意のままに操ることが出来,MSの運動性を飛躍的に向上させる
ことが可能である.バイオ・センサーは通常のサイコミュと比較するとあくまで
機動のサポートに徹するのみであり,パイロットにかかる負担は,ミノフスキー通信
によるビット兵器の遠隔操作のような高度なサイコミュシステムよりも遥かに
小さい.そのためにバイオ・センサーは『簡易サイコミュ』と呼ばれることが
ある.しかしながら本来は機体の駆動系のIフィールドを制御するはずのバイオ・
センサーが,MSの武装としてのビーム・サーベルや周囲のM粒子までをも制御し,
NTパイロットを中心とする”空間”そのもののIフィールド制御を可能としたとの
事例が報告されている.
このような機能が最初から加味されていたのか,バイオ・センサーの暴走による
”事故”であるのかは未だにはっきりしてはいない.


-改修予定地-


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